Microsoftは、「Microsoft Authenticator」アプリに搭載されていたパスワード等のオートフィル機能を2025年7月に終了すると発表しました。
IDやパスワードの自動入力にこの機能を使っていた方にとっては、大きな影響のある変更です。
本記事では、このオートフィル機能が終了する背景やその影響、代わりにできる対策、さらに今後も活用できるAuthenticatorの便利な機能について、やさしく解説します。
なお、今回終了するのはあくまで「パスワード等のオートフィル機能」だけであり、Microsoft Authenticator自体は引き続き利用可能です。
2段階認証やパスワードレスログインなどの主要機能は今後も変わらず使えるため、その点もあわせて詳しくご紹介します。
Microsoft Authenticatorのオートフィル機能とは?
Microsoft Authenticatorは、主に「2段階認証」や「ワンタイムパスワード(OTP)」の生成に使われるスマートフォン(iPhone/Android)向けのセキュリティアプリです。
ですが、近年は「パスワードの保存・自動入力(オートフィル)」の機能も搭載されていました。
たとえば、以下のような使い方ができました。
- iPhoneのSafariやAndroidのChromeで、ログインID・パスワードを自動入力
- アプリに保存した認証情報で、Webサイトのフォーム入力を簡略化
この機能は、ちょっとしたパスワードマネージャーとして重宝されていました。
なぜオートフィル機能が終了するの?
Microsoftは、2025年7月をもってAuthenticatorアプリでのオートフィル提供を終了すると公式に発表しました。
Microsoftの公式サポートページでは「Microsoft では自動入力を合理化しているため、保存したパスワードをデバイス間で簡単に使用できます。 これらの更新プログラムの一環として、Microsoft Authenticator のオートフィルは 2025 年 7 月から廃止されます。」と記載されています。
出典:Microsoft サポートページ「Microsoft Authenticator オートフィルの変更」
これには、以下のような背景があります。
- より高いセキュリティを実現する「パスワードレス認証(パスキー)」への移行を進めたい
- パスワード管理はMicrosoft EdgeやWindows本体に機能を統合していく方向性
- 複数のアプリで同じような機能を持つことで、混乱や誤操作が生じるリスクを回避したい
つまり、Microsoft Authenticatorはより「セキュリティ特化型ツール」として位置づけられるようになっていきます。
オートフィル終了で影響を受ける人は?
オートフィルの終了によって特に影響を受けるのは、次のようなユーザーです。
- スマホでAuthenticatorのオートフィルを使ってログインしていた人
- AndroidやiOSで、Authenticatorアプリに保存したパスワードを、EdgeやOutlookアプリで自動入力して使っていた人
- 他にパスワード管理アプリを使っていない人
自分で意識せず使っていた人も多いため、「ログイン時に自動入力されなくなった」と困る前に準備を進めることが大切です。
対処法①:Microsoft Edgeのパスワード管理を活用
Microsoftは、Authenticatorのオートフィル機能の終了にともない、今後はスマートフォン版のEdgeに搭載されているパスワード管理機能を活用するよう案内しています。
スマホ版のEdgeでは、次のような機能が利用できます。
- ログイン情報の保存と自動入力
- パスワード漏えいや脆弱なパスワードに関するセキュリティ警告
- Microsoftアカウントによる同期設定で、他の端末でも自動入力が可能
特に、スマートフォンにEdgeをインストールし、Windows版Edgeとパスワードを同期して使いたいユーザーにはおすすめの方法です。
Windowsユーザーであれば、Edgeによるパスワード管理への移行は比較的スムーズに行えます。
また、Microsoftのサポートページ「Microsoft Authenticator オートフィルの変更」では、AndroidとiOSでEdgeを使ってオートフィル機能を設定・利用する手順が詳しく解説されています。移行の際にはぜひ参考にしてください。手順が記載されているのでそちらを参考に設定と利用を行ってください。
Edgeによるパスワード管理に関しては以下の記事も参考にしてください。 (全部で2記事ありますが、先頭の記事のリンクを貼っておきます)
対処法②:他社のパスワード管理アプリを使う
より高度な機能や安全性を求める場合は、他社製のパスワードマネージャーも選択肢です。AndroidでChrome、iOSでSafari、WindowsでChromeやFirefoxなどEdgeとは異なるブラウザを使いながらパスワード管理は共通に行いたいユーザーはこちらの方法がお勧めです。
以下のようなサービスがあります:
サービス名 | 特徴 |
---|---|
KeePass(無料) | オープンソースで信頼性が高く、幅広い端末で使える |
1Password(有料) | UIがシンプルで家族やチームでも使いやすい |
Google パスワードマネージャー | AndroidやChromeと相性がよく、無料で使える |
いずれも「オートフィル機能」「安全な保管」「生成」などをサポートしています。
KeePassに関しては以下の記事も参考にしてください。 (全部で3記事ありますが、先頭の記事のリンクを貼っておきます)
Authenticatorパスワード情報の移行
他社のパスワード管理アプリを使う場合は、電話設定で既定のオートフィル プロバイダーとして設定します。 完了したら、次の作業を行う必要があります。
- Microsoft Authenticator からパスワードをエクスポートする
Authenticator起動時など指紋認証など認証が発生することがあります適宜対応しください。
- Authenticator を開き、「⁝」 または 「…」 を選択し、「設定」 を選択する
- 「オートフィル」 セクションまで下にスクロールし、「パスワードのエクスポート」 選択する
- 「エクスポート」 を選択する
- エクスポート ファイルを保存するフォルダーを選択し、「保存」を選択する
2. 利用するサービスにインポートする
以下KeePassを例に説明します。
- KeePassを開きます
- 「ファイル」→「インポート」→「一般的なCSV インポーター」を選択します
- 保存したCSVファイルを指定します
- フィールド名(列名)が「URL」「ユーザー名」「パスワード」などに対応しているか確認し、取り込みます

引き続き使えるMicrosoft Authenticatorの機能
オートフィルがなくなるからといって、Authenticator自体が不要になるわけではありません。
むしろ、セキュリティ機能としての役割は今後さらに重要になります。
主な継続機能:
- ✅ 2段階認証のコード生成(TOTP方式)
- ✅ Microsoftアカウントのプッシュ通知承認
- ✅ 複数アカウントの登録・切り替え
- ✅ パスワードレスサインイン(生体認証と連携)
- ✅ アカウントのバックアップ・復元機能
特に「パスワードレスログイン」や「プッシュ通知承認」は、安全かつ便利な未来型認証のカギになります。
今後のパスワード管理はどうすればいい?
今後のパスワード管理は、「安全性」「利便性」「将来性」のバランスが大切です。
- パスワードを記憶するのではなく安全に管理することが重要
- 今後は「パスキー」や「生体認証」の導入が進む
- パスワードマネージャーとの併用が現実的な選択肢
パスワード強化の考え方は以下にもまとめていますので参考にしてください。
まとめ:慌てず準備を。今のうちに代替策を!
Microsoft Authenticatorからオートフィル機能がなくなるのは不便に思えるかもしれませんが、事前に対処しておけば安心して使い続けることができます。
- Edgeや他社ツールに移行すれば、パスワード管理は継続可能
- Authenticatorは引き続きセキュリティ強化の要として活用できる
- 「パスワードレス社会」に向けて、今こそ見直しのチャンス
この記事が、あなたの安心・安全なネット利用の参考になれば幸いです。
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