インターネットを利用する中で、私たちはさまざまな重要な情報をデジタルデータとして扱います。
これらの情報が外部に漏れると、大きな被害につながる可能性があります。
そのようなリスクを減らす方法のひとつが「暗号化」です。
今回は、暗号化の基本と役割について、やさしく解説していきます。
暗号化とは何か?
暗号化とは、情報を特定のルールに従って、第三者が読めないように変換することです。
暗号化されたデータは、正しい鍵(パスワードなど)を持つ人だけが復号(元に戻す)できます。
暗号化の目的
- 第三者による不正な閲覧を防ぐ
- デバイスの盗難や紛失時に情報漏えいを防止
- ネットワーク経由でのデータ送信の安全性向上
図1:暗号化と複合化の仕組み

この図は、暗号化と復号化の基本的な流れを示しています。まず、平文(読めるデータ)に対して暗号鍵を使って暗号化を行い、第三者が内容を理解できない「暗号文」に変換します。暗号文はそのままでは読めないため、正当な利用者だけが、「復号鍵」を使って元の平文に戻すことができます。この仕組みにより、データが盗まれても、鍵がなければ内容を確認されることはありません。情報漏えいのリスクを減らすうえで非常に有効な手段です。
どんなデータを暗号化すべきか?
すべてのデータを暗号化する必要はありません。
暗号化すべきは、以下のような「重要資産」に限定するのが基本です。
暗号化すべきデータの例
- パスワードの一覧
- 銀行口座やクレジットカードの情報
- 本人確認書類(マイナンバーカード、免許証のコピーなど)
- 機密性の高い仕事用ファイル
- 家族や友人の個人情報を含むデータ
重要資産については以下の記事も参考にしてください。
暗号化の方法とは?
暗号化にはいくつかの方法があります。
ここでは代表的な3つのパターンを紹介します。
① ファイル単位の暗号化
- 特定のファイルだけを暗号化
- パスワードや鍵ファイルで復号可能
- 簡易的に使えるが、ファイル単体が対象
② フォルダ単位/仮想ディスク暗号化
- フォルダや仮想ドライブ全体を暗号化
- 利用中は普通のフォルダのように使える
- KeePassなどのデータベースの保存に便利
③ フルディスク暗号化(FDE)
- パソコンやスマートフォンのドライブ全体を暗号化
- デバイスを起動する際に復号する仕組み
- BitLocker(Windows)やFileVault(Mac)などで実現可能
図2:暗号化方式の違い

暗号化のメリットと限界
メリット
- 万一の盗難・紛失時でも情報漏えいのリスクを軽減
- 他人に読まれて困る情報を自分だけのものにできる
- プライバシーとセキュリティの強化につながる
限界・注意点
- 暗号化したパスワードや鍵を忘れるとデータにアクセスできなくなる
- 常に暗号化された状態とは限らない(使用中の一時ファイルに注意)
- パフォーマンスへの影響が出る場合がある
暗号化されたデータも、弱いパスワードでは簡単に破られてしまいます。
マスターパスワードには必ず「強固なパスワード」を設定し、可能であればキーファイルなども併用しましょう。
まとめ
暗号化は、デジタル社会における自己防衛の基本です。
重要な情報ほど、暗号化によって「万が一の備え」をしておきましょう。
次回の「実践編」では、実際の暗号化ソフトを使って手順を紹介します。
安全な環境を整える第一歩として、まずは「暗号化すべき情報」を洗い出すことから始めてみましょう。
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