Google ドライブやOneDriveは、個人でも無料で使える便利なクラウドサービスです。ファイルの保管や共有が簡単にできるため、多くの人が仕事やプライベートで日常的に利用しています。
しかし、便利さの裏には注意点もあります。パスワードの使い回しや誤った共有設定により、大切なファイルが第三者に見られてしまうといったトラブルが現実に起きています。
この記事では、無料プランの範囲内で実践できるセキュリティ対策を登録セキュスペのエイトが紹介します。特別な知識がなくても、ちょっとした設定や習慣を身につけるだけで、大切な情報をしっかり守ることができます。
クラウドストレージの基本と注意点
クラウドストレージとは、インターネット上にあるサーバー(=他人のパソコン)に自分のファイルを預けるサービスのことです。代表的なものとして、Google ドライブやOneDriveがあります。
便利ではありますが、「クラウド=他人のコンピュータ」であることを忘れてはいけません。自分だけが使っているつもりでも、設定次第では誰でもアクセスできる状態になっていることもあります。
🔐 データは暗号化されているので安心?
Google ドライブ や OneDrive に保存されたファイルは、自動的に暗号化されています。
- サーバーに保存中のファイルは、Google では AES256 などの方式で暗号化され、
Microsoft OneDrive でも BitLocker やファイル単位の暗号化が行われています。 - ファイルの送受信時にも、TLS(HTTPS)通信による暗号化が使われています。
このように、クラウドサービス側の仕組みによって、データそのものの安全性は高い水準で保たれています。
ただし、暗号化されているからといって油断はできません。
たとえば、
- 自分の設定ミスでファイルを誰でも見られる状態にしてしまったり
- パスワードや端末が乗っ取られたりすれば、暗号化されていても情報漏えいは防げません。
したがって、クラウドストレージのセキュリティを守るには、技術的な暗号化と、ユーザーの使い方(設定や習慣)を両立させることが大切です。
主なリスク
- パスワードが流出して、第三者にアカウントへ不正ログインされる
- 間違って設定した共有リンクにより、誰でもファイルを閲覧・編集できてしまう
- 誤って削除や上書きをしてしまい、大切なファイルが消えてしまう
こうしたリスクは、無料でも使える機能で大部分を防ぐことができます。
安全なクラウド活用の3ステップ
クラウドストレージを安全に使うためには、難しい仕組みを知る必要はありません。
まずは次の 3つの基本ステップ を意識するだけで、無料プランでも大切な情報をしっかり守ることができます。
📊 図:

🔒 3つのステップ
- アカウント保護:まず自分自身の入口(ログイン)を守る
- 共有制御:誰とどのファイルを共有するかを正しく設定
- ファイル復元:誤って削除・上書きしたときに元に戻せるよう備える
この3つをそれぞれ順番に見ていきましょう。
アカウントを守る:認証の工夫とパスキーの活用
クラウドのセキュリティ対策でまず取り組むべきなのは、「アカウントの保護」です。
その中でも、最近特に注目されているのが**パスキー(Passkey)**です。
パスキーとは?
- パスワードの代わりに使える新しい認証方式
- 指紋認証や顔認証、デバイスロックと連動し、安全かつ簡単
- フィッシングやキーロガー対策として非常に有効
- GoogleやMicrosoftでも無料アカウントで利用可能
✅おすすめ理由
- パスワードを記憶・管理する必要がなくなる
- 「ログインを装った詐欺サイト」にパスキーは反応しない=フィッシングに強い
その他の認証手段(比較)
認証方法 | 特徴 | 安全性 |
---|---|---|
パスキー(推奨) | 生体認証/PINと組み合わせる新方式 | ◎ 非常に強い |
2段階認証(MFA) | パスワード+スマホ認証コードなど | ○ 強い |
パスワードのみ | 単一のパスワード | △ 危険 |
誤共有を防ぐ:ファイル共有とアクセス制御の基本
Google ドライブやOneDriveでは、ファイルの共有が非常に簡単にできます。
しかし「簡単=危険」にならないよう、設定を見直すことが大切です。
無料プランでもできる共有設定の工夫
- 共有リンクの設定は「閲覧のみ」が基本
- 「編集可能」は信頼できる相手だけに限定
- 使い終わった共有リンクは削除する
- ファイル単位で共有し、フォルダごとの一括共有は避ける
- 「リンクを知っていれば誰でもアクセスできる」はできるだけ使わない
これだけでも、誤って他人に情報が漏れるリスクは大きく下げられます。
うっかりミスに備える:履歴と復元機能
無料プランでも、クラウドサービスには「過去に戻る」機能があります。これを知っているだけで、万一のときに冷静に対応できます。
Google ドライブ/OneDrive 共通の便利機能
- バージョン履歴の確認:過去の編集内容に戻せる
- ゴミ箱からの復元
- Google ドライブ:30日間保存
- OneDrive:最大93日間保存
- ファイルの自動保存:うっかり閉じても最新版が残っている
⚠自動保存の落とし穴にも注意
Google ドライブやOneDriveでは、ファイルが自動的に保存されるため「保存し忘れ」は防げますが、一方で前に作った資料を上書きしてしまうという失敗も起こりがちです。
とくに、
- 以前のファイルをコピーせずに開いて編集した場合
- 内容を少し変えて別の目的で使おうとした場合
には、元の資料が失われる可能性があります。
✅ 対策としては:
- 必ずコピーを作成してから編集を始める(「ファイル→コピーを作成」)
- 編集前にファイル名を変更する
- バージョン履歴で上書きした資料を過去の状態に戻せることも覚えておく
日常でできる無料のセキュリティ習慣
特別なツールや有料プランを使わなくても、日々の使い方を見直すだけでセキュリティは高まります。
✅ 今日からできる4つの対策
- 共有設定を定期的に見直す
→「誰に共有していたか」を1ヶ月に1度確認 - ログイン履歴や通知を確認する
→見知らぬ地域・時間のアクセスは要注意 - 重要ファイルは別メディアにも保存する
→USBや外付けHDDへの定期バックアップ - 端末のセキュリティも忘れずに
→スマホの画面ロック/PCのウイルス対策ソフトを有効に
まとめ:無料でも「設定」と「習慣」で守れる
クラウドサービスは便利で強力ですが、初期設定のまま使っているとリスクも大きいです。
今回紹介した内容はすべて、無料プランで実践可能な対策ばかりです。
とくに重要なのは:
- アカウント保護(パスキー/2段階認証)
- 共有制御
- ファイル復元
- 日常のセキュリティ習慣の確立
これらを少し意識するだけで、あなたの大切なファイルをぐっと安全に保つことができます。
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