大切なファイルを守るには、定期的なバックアップが欠かせません。
Windows 11 Homeでは、標準機能だけでもさまざまな方法でバックアップが可能です。
この記事では、代表的な方法とその手順、さらに自動化の方法までをわかりやすく紹介します。
この記事では以下のフォルダにファイルがある前提で設定やバッチファイルの例を説明します。
バックアップ元のフォルダ: C:\Users\[ユーザーアカウント名]\MyDocuments
バックアップ先のフォルダ(外付けドライブ): X:\Backup\MyDocuments
バックアップ先のフォルダ(ネットワーク共有): \\[コンピュータ名]\[共有名]\Backup\MyDocuments
オフラインバックアップ先のフォルダ(ネットワーク共有):\\[コンピュータ名]\[共有名]\OfflineBackup\MyDocuments
💡[ユーザーアカウント名]、[コンピュータ名]、や[共有名]の部分は環境によって異なります、フォルダ名はご自分の環境に合わせ変更してから使用してください。
⚠️ また、実際にバックアップ環境を構築するときは十分なテストを行い自己責任にて使用してください。
手動コピーでバックアップ
もっとも基本的な方法が手動コピーです。
外付けHDDやUSBメモリなどに、必要なファイルをコピーして保管します。
手順:
- エクスプローラーでコピーしたいフォルダーを選択
- 右クリックして「コピー」
- バックアップ先ドライブを開く
- 右クリックして「貼り付け」

メリット:
- ソフト不要で誰でもすぐできる
- コピー対象を自分で選べる
デメリット:
- 忘れやすい
- コピー漏れが起きやすい
- 手動なので習慣化が必要
robocopyでバックアップ
「robocopy」はWindowsに標準で搭載されている高機能なコピーコマンドです。
ファイルのミラーリングや差分コピー、ログの出力も可能です。
基本構文:
robocopy コピー元 コピー先 /MIR
例:
robocopy "C:\Users\[ユーザーアカウント名]\MyDocuments" "X:\Backup\MyDocuments" /MIR /R:2 /W:2
意味:
/MIR
:ミラーコピー(削除も反映)/R:2
:リトライ2回まで/W:2
:リトライ間隔2秒
メリット:
- 自動化しやすい
- 大量ファイルも高速処理
- ミラーリングで最新状態を維持
デメリット:
- コマンドに慣れる必要あり
- 誤って削除が反映されるリスクあり
タスクスケジューラによるrobocopyによるオフラインバックアップ
Robocopyによるオフラインバックアップを「バックアップのときだけネットワーク共有に接続し、完了後に切断する」ようにするには、次のように バッチファイルとタスクスケジューラを組み合わせて実現します。
なお、後述のファイル履歴の場合とのバックアップ場所が競合することを防ぐため、アックアップ先は\\[コンピュータ名]\[共有名]\OfflineBackup\MyDocuments とします。
手順:
- 「共有フォルダへ接続 → Robocopy実行 → 切断」のバッチファイルを作成します
- バッチファイルを作成、手動との差はlogファイルにバックアップ結果を保存する
例:C:\Backup\backup.bat
に以下の内容で保存
@echo off
:: ネットワーク共有への接続
net use Z: \\[コンピュータ名]\[共有名] /user:USERNAME PASSWORD
if errorlevel 1 (
echo ネットワークドライブ接続失敗
exit /b 1
)
:: Robocopyでバックアップ実行
robocopy "C:\Users\[ユーザーアカウント名]\MyDocuments" "Z:\OfflineBackup\MyDocuments" /MIR /R:2 /W:5 /LOG+:C:\Backup\robocopy_log.txt
:: ネットワーク共有の切断
net use Z: /delete /yes
このバッチファイルではrobocopy実行時にログファイル(C:\Backup\robocopy_log.txt)を出力していますが、そのファイル内にxx.x%の形式で進捗表示が大量に出力されログの内容が確認しづらい問題があります。処理が複雑になるので本投稿では採用しませんでしたが、別途番外編として以下の記事でまとめましたので参考にしてください。上記のバッチファイルの改善版も載せてあります。
各項目の説明
項目 | 説明 |
---|---|
net use Z: | 共有フォルダをネットワークドライブ(Z:)として接続します |
robocopy | Z:ドライブにバックアップを行います |
/MIR | ミラーリング(完全同期)します |
/R:2 /W:5 | リトライ回数と待機時間(エラー対策) |
/LOG+: | ログファイルを追記形式で出力 |
net use Z: /delete | バックアップ後に共有ドライブを切断します |
- スタートメニューで「タスクスケジューラ」を検索して起動
- 右側の「基本タスクの作成」をクリック
- 名前を入力(例:「自動バックアップ」)
- トリガー(実行条件)を設定
例:「毎日」「ログオン時」など選べます - 「操作」では「プログラムの開始」を選択
- 「プログラム」欄に
cmd.exe
を入力 - 「引数」欄に
/c "C:\Backup\backup.bat"
と入力 - 完了をクリックし、タスクが自動実行されることを確認

ファイル履歴機能で自動バックアップ
Windowsの「ファイル履歴」機能を使えば、重要なフォルダーを自動でバックアップできます。
過去のバージョンにも戻せるため、誤って削除しても安心です。
設定準備:
- Windows の「ファイル履歴」機能でバックアップ対象となるデータは、「ライブラリ」(ユーザーの個人フォルダー)にあるファイルですので、バックアップ元のフォルダである「 C:\Users\[ユーザーアカウント名]\MyDocuments」をライブラリに追加します。
- フォルダーを追加するには、エクスプローラーでバックアップ元のフォルダ( C:\Users\[ユーザーアカウント名]\MyDocuments)を右クリック → 「その他のオプションを確認」→「ライブラリに追加」で「ドキュメント」などのライブラリに追加します
- これにより、ファイル履歴の対象に含まれるようになります

設定手順:
- コントロールパネル→ 「システムとセキュリティ」 → 「ファイル履歴」
- 「ドライブを追加」で外付けHDDを選択

3. 「詳細設定」で対象フォルダーや頻度を設定(バックアップ先の空き容量を考慮して設定してください)

メリット:
- 自動で継続的に保存される
- バージョン管理ができる
デメリット:
- システム全体は対象外
- 対象フォルダーは制限あり
Google Driveでクラウドに保管
クラウドバックアップも有効な手段です。
Google Driveを使えば、PC以外の場所にファイルを安全に保存できます。
通常は①同期バックアップ(自動)を設定すれば問題ありません。
① 同期バックアップ(自動)
- Google Drive for Desktop をインストール
- Google Driveで「ファイルをミラーリングする」を選択する
- 同期対象のフォルダーにファイルを保存する
② 手動アップロード(非同期)
- Google Driveで「ファイルをストリーミングする」を選択する
- ウェブブラウザからGoogle Driveを開く
- ファイルやフォルダーをドラッグ&ドロップでアップロード
→操作は本記事の「手動コピーでバックアップ」を参照してください

メリット:
- 災害対策になる
- 複数端末でアクセス可能
デメリット:
- 容量制限がある(無料は15GB)
- 機密性の高い情報には暗号化が必要
まとめ
Windows 11 Homeでも、標準機能だけで十分にバックアップが可能です。
今回紹介した機能を利用して自分のバックアップ方針にしたがったバックアップ環境を構築してください。
重要なデータほど、すぐに失われるものです。
今すぐ、自分に合った方法でバックアップを始めましょう。
コメント