バックアップは「何かあったときの備え」として重要ですが、
実際にその価値を発揮するのは、正しくリストア(復元)できたときです。
「バックアップは取っていたけど、復元のやり方がわからなかった」
「復元してみたけど、ファイルが壊れていた」
こうした事例は意外と多く、せっかくの備えが無駄になってしまうこともあります。
そこで本記事では、過去に紹介したバックアップ方法をふまえ、
トラブル発生時にどうやって復元(リストア)すればよいのかを解説していきます。
リストアが必要になる主なケースと対処法
まずは「どんなときにリストアが必要になるか」を見てみましょう。
🔸 誤削除・誤上書き
- ファイルを間違って削除してしまった
- 編集内容を保存してしまい、元に戻せない
→ 対応:ファイル履歴、Google Driveのバージョン管理、手動バックアップから必要ファイルを個別に復元
🔸 ストレージ故障
- パソコンのHDD/SSDが突然動かなくなった
- USBメモリやSDカードが読めなくなった
→ 対応:別ドライブやクラウドに保存したバックアップからの全データをリストア
🔸 ランサムウェア・ウイルス感染
- ファイルが勝手に暗号化された
- データが書き換えられてしまった
→ 対応:オフラインバックアップなど感染の影響のないバックアップを別環境で復元、ウイルスチェックを行ってからリストア
🔸 スマホの故障や機種変更
- 画面が割れて操作できない
- 新しい端末にデータを移行したい
→ 対応:クラウドやNASに保存された全データを新端末へ復元
リストアの基本的な考え方
リストア時に確認しておきたいポイントは以下の通りです。
- 復元対象はファイル単体か、フォルダやドライブ全体か
- 上書きではなく、一旦別の場所に復元するのが安全
- 復元後に内容の確認やウイルスチェックを行う
- バックアップ設定したときに、必ずリストアテストを行うとともに、システムに大きな変更があった時にもバックアップテスト、リストアテストを十分行う必要があります。
Windowsでのリストア方法
🔹 ファイル履歴からの復元
過去記事:
対象バックアップ方法:Windowsのファイル履歴機能
リストア手順:
- 対象ファイルがあるフォルダを右クリック
- 「その他のオプションを確認」→「以前のバージョンの復元」を選択
- 一覧から復元したい日時を選び、「復元」または「コピー」
📌ポイント:上書きしたくない場合は「コピー」で別の場所に保存しましょう。

🔹 robocopyや手動コピーのバックアップからの復元
対象:USBや外付けHDDに手動保存していたデータ
リストア手順:
- 保存先ドライブを開く
- 該当するバックアップフォルダを確認
- 必要なファイルをドラッグ&ドロップで元の場所へコピー
📌注意:上書きする前に、元ファイルのバックアップを取っておくと安心です。
🔹 Google Drive(同期バックアップ)の復元
対象:同期設定されたフォルダがGoogle Driveに自動保存されていた場合
リストア手順:
- Google DriveのWeb画面を開く
- 対象ファイルを右クリック → 「ファイル情報」→「版を管理」
- 「バージョン履歴」を選択
- 必要なバージョンを選んでダウンロードまたは復元
📌ヒント:上書きされたファイルも、過去30日以内であれば復元できることがあります。

Androidでのリストア方法
🔹 FolderSyncでバックアップされたファイルの復元
過去記事:
「重要情報をバックアップで守ろう(Android実践編)」
Androidで大切なデータを守る!無料でできるフォルダ同期&バックアップ術 | エイトのセキュリティブログ
対象バックアップ方法:FolderSyncを用いたNASやGoogle Driveへの同期
リストア手順(手動):
💡 FolderSyncはバックアップ(同期)に特化したアプリであり、リストア(手動で特定ファイルを復元)には少し手間がかかります。そのため、リストア時は「X-plore File Manager」などのファイル操作に優れたアプリを使う方が、ユーザーにとっても直感的で扱いやすいと思います。
- X-plore File Managerをインストール(Google Playで無料)
- 左右分割ビューの右側に「ネットワーク共有」または「Google Drive」を追加
- バックアップ済みフォルダを開き、復元したいファイルを長押しで選択
- 左側に内部ストレージ(例:Documentsフォルダ)を表示
- ファイルをコピーまたは移動(復元完了)

🔹 Google Driveアプリからの直接復元
対象:Google Driveに保存されたPDFや画像などのファイル
手順:
- Google Driveアプリを開く
- 対象ファイルをタップ → ダウンロードを選択
- 必要に応じてファイルマネージャーで保存場所を指定

おわりに:リストアは「準備してこそ活きる」
どんなに万全なバックアップでも、リストア方法を知らなければ意味がありません。
この記事を参考に、ぜひ一度「復元できるか」の確認をしてみてください。
また、今後のトラブルに備えて以下の習慣をおすすめします。
- 定期的なバックアップ
- リストア手順の確認とメモ
- テストリストアの実施(少量のファイルでOK)
次回は「USBメモリの暗号化方法」や「スマホの設定ファイルの保護」など、より実践的なテーマにも取り組んでいく予定です。
コメント