ある日突然、パソコンやサーバーの画面に「あなたのデータは暗号化されました」と表示されたら。
それは、ランサムウェアに感染したサインかもしれません。
身代金を要求するサイバー攻撃として知られるランサムウェア。個人や企業にかかわらず、被害は深刻です。
ですが、慌ててしまうと被害はさらに広がることがあります。
この記事では、ランサムウェアに「感染してしまった後」に取るべき行動と、絶対にしてはいけないNG対応を登録セキュスペのエイトがわかりやすく解説します。
感染に気づいたら、まず何をすべき?
「ファイルが開かない」「業務システムが動かない」「画面に脅迫文が出た」など、感染の兆候に気づいたら、まず落ち着きましょう。以下の対応を、冷静に順を追って行ってください。
✅ 初動対応のチェックリスト
- ネットワークから切断する
→ LANケーブルを抜く、Wi-Fiをオフにする
→ 他の端末やサーバーへの感染拡大を防ぐ - 画面や表示を撮影・記録する
→ メッセージ画面、暗号化されたファイル名、ファイル拡張子などをスマホで撮影
→ 後の調査や報告、復旧のための証拠になります - ログを保存する(できれば)
→ セキュリティソフトの検知履歴、ファイアウォールログなど - 他の端末が無事か確認する
→ 同じネットワークに接続された機器やファイルサーバーもチェック - 状況を他の関係者に共有する
→ 家族、同僚、IT管理者など、関係者への早期通報も大切です

絶対にしてはいけないNG行動
感染時にはやってしまいがちな対応もありますが、これらは事態を悪化させる原因になります。
❌ NG対応一覧
- むやみに再起動する
→ 一部のランサムウェアは、再起動で暗号化を完了させるものもあります - 怪しい復号ツールを使う
→ ネット上の無料ツールの中には、さらなるウイルスが含まれることもあります - 攻撃者に連絡・支払いする
→ データが戻る保証はなく、再攻撃や金銭要求が続くおそれがあります - 被害を隠す
→ 特に企業や組織では、法令違反や信頼失墜につながるリスクがあります
個人と企業、それぞれの対応方法
被害にあったときの対応は、「個人」と「企業・組織」で少し異なります。立場に応じた行動を見ていきましょう。
🧑💻 個人の場合
- バックアップがあれば復元を検討する
→ 外部HDDやクラウドにある最新のバックアップを使い、感染前の状態に戻せるかを確認 - 「No More Ransom」で復号ツールを探す
→ Europolなどが提供する復号支援サイト
→ 対応可能なランサムウェアの場合、無料で復旧できる可能性があります 参考:https://www.nomoreransom.org/ja/index.html - IPA(個人向け)やサイバー犯罪相談窓口に通報する
→ 被害拡大防止や、類似事件の把握に役立ちます - 今後に備えてセキュリティを見直す
→ 感染経路の見直し、メール対策、バックアップ体制の強化を
🏢 企業・中小事業者の場合
- インシデント対応チーム(CSIRT)があれば即座に対応
→ なければ外部の専門業者(フォレンジック、復旧支援)に連絡を - 社内外への通報・報告を行う
→ 管理者、取引先、顧客、法令上の届け出(個人情報保護委員会など)を検討 - IPA(企業向け)やサイバー犯罪相談窓口に通報する
→ 被害拡大防止や、類似事件の把握に役立ちます - 被害範囲の調査と封じ込め
→ 感染端末の隔離、ネットワーク遮断、ログの解析を行う - 広報・信用回復の準備も並行して行う
→ 報道・SNSでの対応が遅れると、風評被害が広がります - サイバー保険の適用を確認する
→ 契約内容によっては、被害額の一部をカバーできる場合があります
個人・企業の対応比較
対応項目 | 個人の対応 | 企業・組織の対応 |
---|---|---|
初動対応 | ネット遮断、ログ取得、相談 | CSIRT対応、隔離・封じ込め |
復旧手段 | バックアップ復元、復号ツール | 専門業者連携、復旧計画実行 |
通報・連絡 | IPAや警察への相談 | 法的通報(個人情報保護委員会など) |
再発防止 | セキュリティ見直し | システム再構築、全社的教育 |
復旧後にやっておくべきこと
一度復旧できたとしても、それで終わりではありません。再発防止と学びの共有が、今後のセキュリティ強化につながります。
🔁 復旧後の見直しポイント
- 感染経路の調査と対策
→ メール経由?RDP?USB?パターンを把握し再発防止策を講じる - システムとソフトのアップデート
→ 脆弱性が残っていると、再び狙われる可能性があります - バックアップ体制の強化
→ 自動化、世代管理、オフライン保管、リストアテストの実施など - 社内や家族への情報共有・教育
→ 自分の経験を周囲と共有し、意識向上を図りましょう
まとめ:一人で抱えず、信頼できる情報と支援を使う
ランサムウェアは決して他人事ではありません。ですが、正しい初動と冷静な判断があれば、被害を最小限にとどめることもできます。
大切なのは、
- 慌てないこと
- 誤った行動を取らないこと
- 支援先を活用すること
- 学びを次に活かすこと
個人でも企業でも、「事後対応」こそが真のセキュリティ対策の第一歩です。感染後の対応を知っておくことは、自分と周囲を守る強力な力になります。
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