インターネットを利用している私たちは、知らないうちにさまざまな情報をオンラインに預けています。
たとえば、SNSのアカウント、ネットショップで使ったメールアドレスやパスワード、銀行口座やクレジットカード情報などです。
こうした情報が、何らかの原因で「外部に漏れてしまう」ことがあります。特に恐ろしいのは、それらがダークウェブという目に見えない世界で売買されている可能性があることです。
では、自分の情報が流出していないか、どうやって確認すればよいのでしょうか?
今回は、初心者でも使いやすい3つのチェック方法をご紹介します。安全に確認する方法と、漏れていた場合の対処法も丁寧に解説します。
ダークウェブとは何か?
まず、「ダークウェブ」という言葉について、少しだけ説明しておきましょう。
ダークウェブとは、通常のGoogle検索などでは見つけられない、特殊なネットワークのことです。
「Tor」などの匿名通信ツールを使ってアクセスするため、利用者の身元がわかりにくくなっています。
もちろん、ダークウェブ自体は違法ではありませんが、そこでは以下のようなやりとりが行われていることがあります。
- 漏えいした個人情報の売買
- クレジットカード番号のリスト販売
- 不正アクセスに使うツールやウイルスの配布
そのため、自分の情報が「ダークウェブで発見された」というのは、非常に注意すべき事態なのです。
自分の情報が漏れていないか確認する方法
情報が漏れてしまっても、すぐに何かが起こるとは限りません。
しかし、知らずに放置していると、乗っ取りや詐欺被害につながることもあります。
だからこそ、定期的に自分の情報が流出していないか確認することが重要です。
ここでは、特に信頼性が高く、使いやすい3つの方法をご紹介します。
① Have I Been Pwned(ハブ・アイ・ビーン・ポーンド)
このサービスは、世界中で利用されている無料の情報漏えい確認サイトです。
使い方はとてもシンプルで、自分のメールアドレスを入力するだけでOKです。
以下のように操作します:
- 公式サイト(https://haveibeenpwned.com)にアクセスします
- 自分のメールアドレスを入力します
- 「Check」というボタンをクリックします

4. 結果が表示されます(過去に流出した場合は、サービス名と時期が一覧で出ます)

表示された結果が「Good news — no pwnage found!」であれば、今のところ流出していないという意味です。
逆に「Oh no — pwned!」と出た場合は、何らかのサービスから漏れている可能性があります。
② Googleの「ダークウェブレポート」
Googleは、自分のメールアドレスがダークウェブで流出していないかを確認する「ダークウェブレポート」機能を提供しています。
使い方は以下の通りです。
- Googleの「ダークウェブをモニタリングしています」(https://myactivity.google.com/dark-web-report/dashboard)にアクセスします。
- 確認したいGoogleのメールアドレスでログインしてください
- 初めてアクセスした場合は「モニタリングを開始」を行い、氏名、生年月日、電話番号などダークウェブに漏れていないか確認する項目を指定します
- これらの情報は追加・修正を行うことができます
- メールアドレスはGmail以外のメールアドレスの追加もできます

6. 結果が表示されます。漏れていた場合は、どの情報がどこで見つかったかも表示されます

7. 漏洩が発見されたときは、その項目をクリックすると推奨対処方法も確認できます。

③ McAfeeの「問題の高度なスキャン」
McAfee(マカフィー)のセキュリティソフトを利用している方は、より詳細なスキャン機能を使うことができます。
「ID保護(ID Theft Protection)」という機能で、最大60項目までの個人情報を監視可能です。
利用手順は次の通りです:
- McAfeeのダッシュボードを開きます
- 「個人情報の保護(ID Protection)」を選択します
- メールアドレス、電話番号、クレジットカードなど、監視したい情報を登録します
- ダークウェブ上で一致する情報が発見された場合、即時に通知されます

3つのツールの使い分け
おすすめ使い分けアドバイス
- まずは全メールアドレスを確認 →
Have I Been Pwned
(※英語サイトのため簡単な英語読解が必要です) - 今後の漏洩に備えGoogleでモニタリング設定 →
Googleダークウェブレポート
- クロスチェック用にスキャン情報を確認→
McAfee ID保護スキャン
(対処については有償オプションが必要:私は様子見としました) - ダークウェブのスキャンはそれぞれ観点や範囲がことなるため、上記3つを使用する。
- リアルタイムモニターはGoogleダークウェブレポートを利用する。ただし、Googleにはモニター対象となる、氏名、住所、電話番号などの情報を登録しなければならないため抵抗があるひとは利用しない選択もあると思います。
- 対象方法は次項の「情報が漏れていたらどうすればいい?」を参考にしてください
比較表
ツール名 | 特徴 | 向いている人 | 弱点 |
---|---|---|---|
Have I Been Pwned | 無料・登録不要で気軽に調べられる | 初めて情報漏えいチェックをする人情報漏えいチェックをする人 | 英語のみ対応、リアルタイム監視は不可 |
Googleダークウェブレポート | Googleアカウントと連携し、リアルタイム監視もできる | Googleユーザで漏洩の詳しい情報を知りたい人 | Googleには個人情報を登録する必要がある |
McAfee ID保護スキャン | 最大60項目を一括監視し、流出時に警告 | クレカ番号や住所など幅広く監視したい人 | 対応は有料プランが前提、導入の手間あり |
情報が漏れていたらどうすればいい?
確認の結果、どこかで自分の情報が漏れていたとわかった場合は、次のような対応を取りましょう。
アカウントやパスワード情報が漏出
- すぐにパスワードを変更する(同じパスワードの使い回しは絶対に避ける)
- 「多段階認証(MFA)」を設定する(可能なサービスでは必ずONに)
- パスワードマネージャーを使って、安全にパスワードを管理する(KeePassなど)
- 漏洩したメールアドレス宛に届くフィッシング詐欺への警戒強化
パスワード管理は以下の記事も参考にしてください。
電話番号が漏出
1. 迷惑電話・SMS詐欺に注意する
- 「不正ログイン通知」「当選連絡」「荷物未配達」など、SMSを使った詐欺が急増します。
- 見知らぬリンクは絶対に開かないようにしましょう。
2. 2段階認証(SMS以外)を設定する
- 電話番号が流出した場合、SMS認証は安全とは言えません。
- 認証アプリ(Google Authenticatorなど)やハードウェアキーに切り替えるのが理想です。
3. キャリアに相談する
- 迷惑電話が止まらない場合は、携帯会社に番号変更やフィルターの相談を。
- 場合によっては、番号変更を検討しても良いです(※手数料が発生することもあります)。
クレジットカード情報が流出していた場合の対処法
1. カード会社に即連絡する
- カードの裏面に書かれている電話番号にすぐ連絡し、不正利用の有無を確認。
- 不正が疑われる場合は利用停止・再発行の手続きを取ってください。
2. 利用明細をこまめに確認する
- 数日〜数週間後に不正利用されることもあるため、1~2ヶ月は毎日チェックが理想です。
- 少額決済(例:1円や数百円)でもテスト決済の可能性があるので注意。
3. サブスクや支払いサービスの登録カードを見直す
- 登録している各サービス(Amazon、楽天、サブスクなど)のカード情報を更新・削除しましょう。
住所漏洩の対処法と注意点
住所が漏洩した場合、単体では即座に金銭被害につながることは少ないものの、他の個人情報(名前・電話番号・メール・カード番号など)と組み合わさると、なりすまし・詐欺・不審な郵便物・訪問販売被害などのリスクが高まります。
1. 不審な郵便物・宅配物に注意する
- 見覚えのない宛名・差出人の荷物は開けない・受け取らないようにしましょう。
- 特に代引きや着払いの荷物は詐欺の手口として使われることがあります。
2. 不審な訪問者には警戒を
- セールスや調査を装った訪問に注意。ドアを開けず、インターホン越しで対応し、身元不明なら断りましょう。
- しつこい場合は、警察や自治体の消費生活センターに相談してください。
3. 住所を登録しているサービスを見直す
- 漏洩元と思われるサイト・サービスがあれば、登録情報の削除・修正・退会を検討しましょう。
- 今後のために、住所登録は必要最小限にとどめるのが基本です。
偽の「流出通知」にも注意!
最近は、ダークウェブでの情報流出を装った「偽の通知」や「詐欺サイト」が増えています。
たとえば、以下のようなメッセージには注意が必要です:
- 「あなたのアカウントがハッキングされました」などと突然表示されるポップアップ
- メールで届く不自然な日本語の「流出警告」
- 本物そっくりの偽サイトで、パスワードの再入力を求められるページ
信頼できるサイト(haveibeenpwned.comなど)のURLを確認し、むやみにクリックしたり入力したりしないようにしましょう。
まとめ
- 情報漏えいは、誰にでも起こる可能性があります
- ダークウェブでの流出は気づきにくく、放置すると被害が拡大する恐れがあります
- 今回紹介した3つの方法を使って複数の角度からチェックしてください
ぜひ、月に1回でもいいので、ご自身の情報を確認する習慣をつけてください。
「気づかないまま」のリスクを防ぐことが、セキュリティ対策の第一歩です。
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