突然パソコンが壊れたり、ウイルスに感染したりして、大切なファイルが消えてしまう――そんなトラブルは誰にでも起こりえます。
この記事では、Windows 11 Homeの標準機能や無料のクラウドサービスを使って、大切なデータを守るための実践的なバックアップ方法を紹介します。
この記事では操作方法やバッチファイル例など詳細については触れず、次の記事でWindows詳細編として説明します。
バックアップは、決して難しいものではありません。
今すぐできる方法を、初心者にも分かりやすく解説します。
バックアップの基本と「3-2-1ルール」
バックアップとは、大切なファイルのコピーを安全な別の場所に保存することです。
基本の考え方として、「3-2-1ルール」が広く知られています。
3-2-1ルールとは:
- 3つのコピーを用意する(元のデータ+2つのバックアップ)
- 2種類のメディアに保存する(例:外付けHDDとクラウド)
- 1つは異なる場所に保存する(自宅外、クラウドなど)
このルールに従えば、機器の故障、ウイルス感染、盗難、自然災害といったあらゆるトラブルに備えることができます。
3-2-1ルールは以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
オンラインバックアップ:ネットワーク保存を活用
オンラインバックアップとは、家庭内のNAS(ネットワークHDD)やファイルサーバなどに保存する方法です。
方法①:手動コピー
- ネットワーク上の共有フォルダをエクスプローラーで開きます(例:\nas)
- よく使うフォルダをショートカットにしておくと便利です
- 定期的にバックアップ対象フォルダをコピーしましょう
方法②:Robocopyなどで自動化
- バッチファイルで差分バックアップが可能です
- 定期実行タスクとして登録することで、より自動化できます
💡 注意点
ネットワーク先がウイルス感染した場合、バックアップも巻き込まれる恐れがあります。コピー前にウイルスチェックを実施しましょう。
オフラインバックアップ:外付けHDDやUSBメモリに保存
オフラインバックアップとは、外部ストレージ(外付けHDDやUSBメモリ)に保存し、通常は接続しないことで安全性を高める方法です。
方法①:手動コピー
- ファイルを直接ドラッグ&ドロップでコピー
- コピー後は安全に取り外しましょう
- 月1回や週1回など、定期的に実施する習慣が大切です
方法②:Windowsの「ファイル履歴」機能を使う
設定手順:
- 設定 → 「バックアップ」→「バックアップオプション」を開く
- 「ドライブの追加」で外付けHDDを選択
- 「ファイルの自動バックアップ」をオンにする
- 保存間隔や保存期間をカスタマイズできます
復元方法:
- 「バックアップからファイルを復元する」オプションを選択
- 履歴からファイルを選び、元に戻すことができます
クラウドバックアップ:Google Driveで簡単&無料
クラウドバックアップとは、インターネットを使ってファイルを安全に外部のサーバーに保存する方法です。
ここではGoogle Driveの無料サービスを活用します。
手順:Google Drive for Desktop を使用
- Google Drive for Desktop をインストール
- Googleアカウントでログイン
- 「フォルダをバックアップ」で保存先を指定
- 自動で同期され、マイドライブに保存されます
補足:OneDriveとの比較
特徴 | Google Drive | OneDrive |
---|---|---|
容量 | 無料で15GB | 無料で5GB |
アカウント | Googleアカウント | Microsoftアカウント |
連携性 | AndroidやGmailと高い | Windows標準機能と統合 |
操作性 | シンプルな設定画面 | エクスプローラーと連動 |
各バックアップ方法の比較表
3つのバックアップ方法の特長と使い分けを以下にまとめます。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
オンライン | 高速、複数台と共有可能 | 感染時に被害を受けやすい |
オフライン | ウイルス・攻撃に強い | 接続・切断の手間が必要 |
クラウド | 自動同期、外出先からも利用可 | 容量制限、通信環境に依存 |
バックアップ頻度とタイミングの目安
バックアップは一度やれば終わりではありません。定期的に行うことが重要です。
おすすめの頻度:
- 重要なファイルは変更毎または、週1回〜毎日
- システム全体のバックアップは週1回~月1回
- クラウドは自動同期で随時
外部メディアの管理と保管方法
バックアップ先が壊れたり盗まれたりしては意味がありません。保存メディアの管理にも気を配りましょう。
- 保管場所は高温・湿気の少ない安全な場所に
- USBメモリやHDDは定期的に動作確認を行う
- メディアに**暗号化(例:BitLocker)**をかけておくと安全性が高まります
バックアップの具体例
ここでは一例としてどのように3-2-1ルールを守りながらバックアップの仕組みを作り上げるかを説明します。これを参考にあなたの環境でどのようにバックアップを行うか考えてみてください。
バックアップ方針(例)
- PCの全体はGoogle Drive自動同期を使ってPCローカルとクラウドに同期して保管する
- 重要資産(KeePassパスワードデータベースとVeraCryptファイル*1)はRobocopyで変更があった都度USBメモリにバックアップ
- 非重要資産(作成ファイル、重要でない写真やビデオなど)は1か月に1度ファイル履歴(Windowsの標準バックアップ機能)でオフラインバックアップ
- この仕組みを作ったら、必ずリストアテストまで行う。
*1 VeraCryptファイルには重要資産(マイナンバーや銀行口座情報などの個人情報、家族や自分の写真やビデオ、重要書類など)を格納します。
説明、注意点
- 上の方針で行えば3-2-1ルールを守ったうえ、重要資産は暗号化してバックアップできます。
- すべてのデータを同じ頻度・方法でバックアップする必要はありません。重要なデータほど手厚く、非重要なデータは効率的にという考え方が現実的です。
- 懸念点としては無料ではGoogle Driveは15GBまでしか保存できない。1か月に1度のローカルバックアップを忘れる可能性があるなどが考えられるかもしれません。こういった懸念点に対する対応策を方針作成と一緒に残しておきましょう。
- Google Drive 15GBを超えたら有償でクラウド容量を増やす
- 手動ではなくNASを購入し自動バックアップを行う(自動でバックアップ時だけNASにつなげる)
まとめ
- Windows 11 Homeでも、標準機能や無料サービスで十分なバックアップが可能です
- オンライン・オフライン・クラウドの3つの方法を組み合わせて守りましょう
- 定期的なバックアップと、復元確認の習慣化が大切です
今後の記事予定
次回は、次の記事でWindows詳細編として、Windowsでバックアップを行う際の詳細手順について解説します。
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